「頭痛がひどいから」と毎日のように市販薬を飲んでいませんか?
慢性的に頭痛薬を使用している人の中には、「薬を飲んでも効かない」「前より頭痛が増えた気がする」と感じている方も少なくありません。
このようなケースでは、「薬物乱用頭痛」が関係している可能性があります。
この記事では、薬物乱用頭痛の原因や発症の仕組み、注意すべきポイントなどをわかりやすく解説していきます。
薬物乱用頭痛(MOH)とは
薬物乱用頭痛は、頭痛を抑えるために使っていた薬が、逆に頭痛を悪化させてしまう状態を指します。
世界保健機関(WHO)や国際頭痛分類第3版(ICHD-3)でも疾患として明確に分類されており、頭痛持ちの患者様の中でも一定数がこの状態に陥っているとされています。
特に、片頭痛や緊張型頭痛などの一次性頭痛をもともと持っている人が、市販薬や処方薬を「対症療法」として頻繁に使いすぎた結果、脳が薬に反応しやすくなり、薬を使わないと頭痛が起こるという悪循環に陥ります。
どんな薬が原因になるの?
・アセトアミノフェン(カロナールなど)
・NSAIDs(ロキソプロフェン、イブプロフェンなど)
・トリプタン製剤(片頭痛の特効薬)
・エルゴタミン製剤
・カフェイン含有薬(鎮痛剤とセットで含まれることが多い)
特に注意が必要なのは、複数の種類の薬を並行して使っている場合や、毎日のように服用している場合です。
どれくらいの頻度で起こる?
薬物乱用頭痛の発症頻度は、以下のように報告されています。
・月に10日以上、同じ鎮痛薬を使用している
・3か月以上、継続して使用している
このような頻度で使用していると、徐々に薬の効きが悪くなり、薬を使わない日にも頭痛が起きるようになってしまうのです。
薬で頭痛が増えるメカニズム
薬物乱用頭痛が起こる仕組みは、脳の痛みを制御するシステムが過敏になってしまうことが関係しています。薬を頻繁に使用することで、脳が「薬がないと痛みを抑えられない」と学習してしまい、
・脳の痛み抑制機能が低下する
・神経伝達物質のバランスが崩れる
・反復刺激によって痛みに対する感受性が上がる
といった変化が生じます。
つまり、薬が「痛みを引き起こす要因」に変わってしまうのです。
薬物乱用頭痛の症状
・毎日のように頭が重い、ズキズキする
・朝から頭痛があり、薬を飲むまで動けない
・薬を飲んでもすぐにまた痛みがぶり返す
・頭痛の頻度・程度が以前よりも増している
「薬が効かなくなった」「薬を飲んでも治らない」という感覚が続く場合は、MOHの可能性を疑う必要があります。
対処法・改善方法
薬物乱用頭痛と診断された場合、治療の基本は「原因となっている薬の中止または減量」です。
ただし、いきなり中止すると離脱症状(強い頭痛や吐き気、倦怠感など)が出ることがあるため、医師の指導のもとで計画的に治療を行うことが重要です。
併せて、以下のような対策が行われます。
・頭痛ダイアリーをつけて頭痛の頻度や薬の使用状況を記録する
・予防薬(抗てんかん薬、抗うつ薬など)の使用
・認知行動療法や生活習慣の改善(睡眠、ストレス管理など)
離脱症状を乗り切るには
減薬、中止を始めて1週間程度は頭痛や吐き気、倦怠感などの離脱症状が強まりやすく、つらい時期でもあります。
この時期は、無理をせず家族や医療スタッフに頼りながら乗り切りましょう。
頭痛の誘因となる刺激(カフェインや光、音、においなど)をできるだけ避けて、睡眠をしっかりととることを意識しましょう。
正しく薬を使えていますか?:チェックリスト
薬の服用状況に関して定期的にチェックしてみるのも、自分の現状を知る上で大切です。
・頓服回数〜月に何回飲んだか
・服用間隔〜1回服用したら6時間以上は空けたか
・複数の鎮痛薬を同時に飲んでいないか
・カフェインの摂取状況
・生活リズムはどうか(睡眠時間、食事など)
「薬が効かない」と感じたら、頭痛外来へ
頭痛薬は、適切に使用すれば強い味方になります。しかし、自己判断で長期的に使い続けると、逆に頭痛を悪化させてしまう危険性もあります。
「薬が効かない」「前より頭痛が増えた」などの変化を感じた時は、一度、頭痛専門外来で相談してみることが大切です。
頭痛とのつきあい方を見直し、薬と上手に付き合っていくことが、慢性頭痛からの回復につながります。
福岡市博多区にある「あきらめない頭痛クリニック」
診療のモットーは「一人ひとりのために」。
当院はあらゆる頭痛に対して多角的に原因追究を行い、根本から頭痛を治療することをめざすクリニックです。年齢を問わず、広く頭痛治療に取り組み、個々の頭痛に合わせたオーダーメイドの治療を提供しております。
「より良い有意義な人生を送っていただくための治療を絶対に諦めない」という思いをクリニック名に掲げ、多くの方に貢献できたらと思っています。
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