【コラム】更年期は生理の頭痛がひどくなるって本当?!

女性は初潮を迎える小学校高学年から中学生、そして結婚、出産など、さまざまなライフステージを迎えます。
それらのライフステージでは女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が大きく関わります。
その影響によって女性が訴えるのが生理時の頭痛。ここでは、この頭痛が更年期になるとひどくなると言われている原因や、ひどくなったときの対処法などについてお話しします。

 

1. 生理のときに頭痛・・その理由は?

53%の女性が生理のときには腹痛や腰痛の症状があるほかに、生理の前後に頭痛があると答えています。
(Lidea(LION) https://lidea.today/articles/20)。

生理のときに起こる頭痛は、女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌量が影響していると言われています。

エストロゲンの分泌量は下記のように、女性の生理周期によって増減します。
〔排卵前〕分泌のピーク→〔排卵後〕急激に減少→増加→〔生理前〕減少

エストロゲンの分泌が減少すると、血管を収縮させる作用のある脳内物質であるセロトニンも減少するため脳内血管が拡張します。これによって頭痛が起こりやすくなるのです。

2. 生理のときに起こる頭痛の種類とそれぞれの原因

では、生理時の頭痛にはどのような種類があり、どのような原因で起こるのでしょうか。

〔片頭痛〕

エストロゲンの分泌減少に伴うセロトニン減少により、脳内血管が拡張することで起こります。その症状としては、下記のようなものがあります。

*頭の片側や両側にズキズキと脈打つような痛みがある。

*体を動かすと痛みを感じる。

*光や音で症状が悪化することがある。

〔緊張型頭痛

生理中のストレスや首・肩のこりが原因とされており、頭が締め付けられるような痛みが長く続きます。

3. 更年期になると頭痛が悪化する理由

女性の閉経前後の5年間(一般的に45歳から55歳くらい)は「更年期」と呼ばれ、この時期に体調不良を訴える女性が多くなります。
更年期にどのような症状が現れるのかを見てみましょう。

3-1. 更年期障害とは

更年期に現れるさまざまな身体的・精神的症状のうち、日常の生活に支障を来たすすものを更年期障害と言います。

3-2. 更年期障害の症状

更年期障害の症状には、身体的症状と精神的症状があります。

〔身体的症状〕

肩こり、疲労感、頭痛、ほてり、腰痛、汗をかく、など

〔精神的症状〕

気分の落ち込み、意欲の低下、イライラ、不安感、無気力、不眠、など

3-3. 更年期障害の原因

更年期障害が現れる一番大きな原因は、年齢を重ねることで卵巣機能が低下し、エストロゲンの分泌が急激に低下し、ホルモンバランスが崩れることです。

エストロゲンは脳の視床下部からの指令によって卵巣から分泌されます。視床下部はまた、体温や消化機能の調整などという自律神経のコントロールをするセンターでもあります。

そのため、脳がエストロゲンを出すように命令を出しても、機能の低下した卵巣からはエストロゲンがを十分に分泌できないことにより、ホルモンバランスが乱れ、自立神経をコントロールできず、心身に不調が現れます。

3-4. 更年期に生理時の頭痛が悪化する理由

生理のときの頭痛は、エストロゲンの分泌の減少に伴って脳内血管が拡張することで起こるということを「1.なぜ生理のときに頭痛が起こるのか? その理由について」の項でお話ししました。

更年期には卵巣機能の低下によってエストロゲンの分泌が急激に減少するため、頭痛が悪化するのです。

また一方で、目の疲れや肩こりなどの身体的ストレスや、家庭・職場・地域との関わりなどから生じる精神的ストレスなど、複合的な要因によって頭痛が悪化するとも言われています。

4. 更年期に起こる頭痛への対処法

それでは更年期の頭痛を少しでも軽くするために、どのように日々を過ごせば良いのでしょうか?

4-1. まず更年期の生活を改善するように努めましょう

ご自身で改善できる生活習慣や、更年期障害の予防に向けた対策として実践できることがあります。

〔食生活〕

*バランスのとれた食事(主食:副菜:主菜=3:2:1)をとる。

*魚料理やおひたし、煮物などの和食中心の食事にする。

*カルシウムが摂れる乳製品や、女性ホルモンと似た働きをする大豆イソフラボンを含む大豆製品をとる。

〔定期的な運動〕

ウォーキング、水中歩行、ヨガなどの有酸素運動を1回につき30~60分、週に3~4回行う。
このようにご自身の体を気遣って大切にすることで、更年期を少しでも前向きに過ごすことが大切です。

4-2. 更年期の頭痛への対処法

上記のご自身でできる改善方法を行っても治まらない頭痛の場合、医療の力を借りて和らげる対処法があります。

・ホルモン補充療法~女性ホルモンを補うHRT

・漢方薬

・抗不安剤、抗うつ薬

・心理療法・カウンセリング

さいごに

さまざまなストレスの中でも頑張っていながら、女性ホルモンの分泌量の影響で「痛み」を訴える女性たち。女性の皆さんに必要なのは生活習慣を見直すことや、痛みを我慢せずに早めに受診すること。そして、何より大切なのは普段の生活の中で常にご自身をいたわることです。そうすることで、女性は更年期でも元気に生き生きと過ごしていけるのです。

あきらめない頭痛クリニックでは、これまで多くの女性の片頭痛緩和のサポートをしてきました。
その中にはもちろん、生理痛から来る片頭痛だけでなく更年期から来る片頭痛の症例もあります。
漢方を活用した治療にも長年の実績がございますので、是非お気軽にご相談ください。

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※更年期障害についての参照サイト
・更年期ラボ
https://ko-nenkilab.jp/menopause/about05.html?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_campaign=notvisitedu_kl_mn&utm_term=e_%E6%9B%B4%E5%B9%B4%E6%9C%9F%E9%9A%9C%E5%AE%B3&waad=5fTR0vJe&ugad=5fTR0vJe&gad=1&gclid=CjwKCAjwivemBhBhEiwAJxNWN4b5wh-0ReJ1UzkyFoD3QYlNLuc7EEYNr8YQCFyG3V_pSPeg57AwbBoCQMsQAvD_BwE

・公益社団法人日本産科婦人科学会(https://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=14
・eヘルスネット(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-081.html
・ヘルスケアラボ(https://w-health.jp/climacterium_alarm/about_climacterium/
・ワタシのカラダ相談室(https://www.mochida.co.jp/woman/disease/menopause/

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この記事の監修者 あきらめない頭痛クリニック院長田村正年

1957(昭和 32)年 9 月 15 日、⾧崎県佐世保市生まれ。
1976(昭和 51)年、佐世保西高校卒、1985(昭和 60)年、鹿児島大学医学部卒。
1987(昭和 62)年、県立大島病院、1989(平成元)年、静岡東てんかんセンター、1990(平成 2)年、鹿児島県立北薩病院勤務。
1992(平成 4)年。脳神経外科専門医取得。同年、加治木大井病院脳神経外科部⾧、1995(平成 7)年、金丸脳神経外科勤務。
同年、博士号取得。
1997(平成 9)年、徳田脳神経外科部⾧として勤務。
2001(平成 13)年、田村脳神経外科開業。
2023(令和 5)年 11 月20日、福岡市博多区に「あきらめない頭痛クリニック」を開院。

<所属学会>
国際頭痛学会、日本頭痛学会、日本東洋医学学会、日本てんかん学会、 脳神経外科学会評議員、脳卒中の外科学会会員、日本脳血管内治療学会会員、 日本脳神経学会コングレス会員