症例報告

小児片頭痛について

小児片頭痛について 小児片頭痛(偏頭痛)は、成人と同様に小児にも発症することがありますが、特徴が異なる点もあります。
発症年齢は早ければ3〜5歳頃から見られ、学童期(6〜12歳)や思春期(13〜18歳)でより頻繁に認められます。
1. 小児片頭痛の特徴
① 頭痛の性質 片側性または両側性の拍動性頭痛(大人よりも両側性が多い) 持続時間が短く(2~72時間)、成人の片頭痛よりも短時間で軽快しやすい 中等度~重度の痛みで、日常生活に支障をきたすことがある 体動(運動など)によって悪化する
② 随伴症状 悪心・嘔吐:成人よりも頻繁に見られる 光過敏・音過敏:暗い部屋で静かに過ごしたがる
腹痛:特に腹型片頭痛(abdominal migraine)では、頭痛よりも腹痛が主症状となる
めまい:前庭性片頭痛(vestibular migraine)では、めまいが主症状となる
③ 前兆の有無 前兆あり(Migraine with aura):閃輝暗点(きらきらした光が見える)、視野欠損、感覚異常など 前兆なし(Migraine without aura):最も一般的なタイプ
2. 小児片頭痛の診断基準(ICHD-3) 国際頭痛分類第3版(ICHD-3)に基づく診断基準では、以下のような基準が用いられます。
発作が 5回以上 起こる 持続時間が 2時間~72時間(成人では4時間以上)
以下のうち2つ以上 を満たす
: 片側性または両側性 拍動性 中等度~重度の痛み 体動によって増悪 以下のうち1つ以上 を伴う
: 悪心または嘔吐 光過敏または音過敏
3. 鑑別診断 小児の頭痛には片頭痛以外にも様々な原因があるため、慎重な鑑別が必要です。
① 緊張型頭痛 非拍動性の圧迫感・締めつけ感 頭全体や後頭部に痛み 日常生活への影響は比較的少ない 運動による悪化はなし
② 二次性頭痛(重篤な疾患の可能性) 以下の特徴がある場合は、精査が必要: 突然の激しい頭痛(くも膜下出血など) 朝の頭痛・嘔吐(脳腫瘍による頭蓋内圧亢進) 発熱を伴う頭痛(髄膜炎など) 意識障害・けいれんを伴う(脳炎など)
4. 小児片頭痛の治療
① 急性期治療 非薬物療法 静かな暗い部屋で休ませる 水分補給を行う 可能ならば短時間の睡眠をとらせる 薬物療法 アセトアミノフェン(小児にも安全) イブプロフェン(効果が高いが、胃腸障害に注意) トリプタン系(12歳以上ではスマトリプタン点鼻薬などが使用可能)
② 予防療法(頻度が高い場合) 生活習慣の改善(睡眠、ストレス管理、食事) β遮断薬、抗てんかん薬、抗うつ薬(必要に応じて)
5. 小児片頭痛の予防・生活指導 規則正しい睡眠(睡眠不足・過剰な睡眠は片頭痛を誘発) バランスの取れた食事(空腹を避ける、カフェインを控える) ストレス管理(リラクゼーション、適度な運動) トリガーの回避(特定の食べ物、光刺激、気圧変化など)
まとめ 小児片頭痛は成人と異なる特徴を持ち、特に両側性頭痛、腹痛、嘔吐などが多いのが特徴です。頭痛日記をつけることでトリガーの特定や適切な治療がしやすくなります。急性期治療としては静かな環境での休息や鎮痛薬の使用が中心となり、頻回の場合は予防療法を考慮します。適切な診断と対応により、日常生活への影響を最小限に抑えることが可能です。

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