医師紹介・ドクターズインタビュー
院長:田村 正年
経歴
長崎県佐世保市に生まれる | |
昭和51年 | 佐世保西高校を卒業 |
昭和60年 | 鹿児島大学医学部卒業 |
昭和62年 | 県立大島病院勤務 |
平成元年 | 静岡東てんかんセンター勤務 |
平成2年 | 鹿児島県立北薩病院勤務 |
平成4年 | 脳神経外科専門医取得 |
平成4年 | 加治木大井病院脳神経外科部長として勤務 |
平成7年 | 金丸脳神経外科勤務 |
平成7年 | 博士号取得 |
平成9年 | 徳田脳神経外科部長として勤務 |
平成13年 | 田村脳神経外科勤務 |
令和5年11月 | 福岡市博多区に「あきらめない頭痛クリニック」を開院 |
資格・所属学会
- 日本頭痛学会 専門医・指導医
- 脳神経外科学会 専門医・評議員
- 日本てんかん学会
- 脳卒中学会員
- 日本脳神経学会コングレス会員
- 日本精神神経学会
ドクターズインタビュー
こちらのクリニックでは頭痛治療に力を入れているそうですね。
当院は、どのような頭痛であれ、患者様と相談しながら「やれる手立ては全て尽くすクリニック」です。
患者様と相談して、「ここまでやってみますか?」など、さまざまな治療法を提案した上で治療を進めています。
中には、日本では導入されていない治療法をご提案することもあります。
ガルカネズマブは、群発頭痛に治療効果があると海外では認められています。
しかし、日本では群発頭痛の診断のレベルが低いのが現状です。
そのため、十分なデータは集まっていません。しかも、片頭痛が8.4人に1人に対して、群発頭痛は1000人に1人と言われていて、頻度も低いです。
そのため、製薬会社は群発頭痛に対してガルガネズマブで治験を行うことを足踏みしてしまっている状況です。
それで困るのは、群発頭痛を抱えている患者さん達です。保険外にはなりますが、そういった治療薬の情報提供も行います。
頭痛に特化したクリニックを開院されたきっかけを教えてください。
もともとは、娘の頭痛治療をしたことがきっかけになっています。
以前は鹿児島の方で治療を行っていましたが、本来であれば治療を必要としているにも関わらず、病院に足を運ぶ方が少なかったです。
「CGRP抗体の治療が必要です」とお話しても、経済的な面で治療を受けられない方も多くいらっしゃって、残念に思っていました。
そのため、自分が取り組みたい治療に本気で取り組める環境に身を移したいと考えて、福岡で開院することを決めました。
患者様との対話や治療において、こだわりや大切にされていることを教えて下さい。
頭痛治療を始める前に事前の説明をしっかり行って、患者様の思いを最優先しています。
最善だと感じる治療法を提示しますが、「なるべく薬は使いたくない」など患者様の希望があれば、メリットやデメリットを説明した上で選択して頂いています。
今後クリニックが目指していきたい姿などを教えてください。
今後、頭痛の治療は大きく変わることが予想されます。
海外では首の迷走神経のところに機械を当てて、電気刺激で頭痛治療をするといった治療法が実施されていますし、新薬も次々に開発されるでしょう。
頭痛治療のCGRP抗体の治療は、無効例が15%に到達しています。
その辺が解明されてくると、頭痛で困る方は減少するでしょう。
女性の場合は、ホルモンの関係で頭痛がひどくなりやすい傾向があります。
エストロゲンが減少すると頭痛は発症しやすくなり、日常生活を送ることも困難になるケースもあります。
女性は真面目なので、頭痛を我慢してしまう場合も少なくありません。
女性の力が発揮でき、社会進出を後押しできるような治療を提供したいと考えています。
九州では、「私が最初に最新の頭痛の治療法を導入していきたい」という気持ちで日々治療を行っています。
頭痛に隠れている危険性や疾患とは?
一番怖い頭痛は、くも膜下出血です。
その他には、血管が裂けていく解離性大動脈瘤が挙げられます。
こういった疾患を発症すると、血管が詰まったり内出血を起こしたりして亡くなる方も少なくありません。
開業して1ヶ月目で、3人ほどそのような症例に当たる患者様がいらっしゃいました。
つい先日も、20代の女性で頭痛を訴えて受診された方を検査してみたら脳腫瘍ができていて、水頭症を発症していました。
「たかが頭痛」と患者様が思っても、普通の頭痛の経過ではない場合は、これまで数々の症例を目にしてきたので経験から嗅ぎ分けることができます。
小児の頭痛について教えてください。
福岡県では、「小児心身医学会ガイドライン」をもとに、小児科の先生たちは勉強されています。
その中には、「自律神経の症状の中に頭痛がある」という文言が含まれています。
そのガイドラインでは、自律神経に異常を来たせば頭痛が発症するという考え方が明示されています。
だから、お子様が頭痛を発症すると、自律神経の治療を受けることが一般的です。
ところが、私は自律神経と頭痛は別物だと考えています。
実際に、当院に足を運ばれた13歳のお子様も2年間「自律神経失調症だ」と言われ続け、治療を受けましたが効果は無かったそうです。
そこで、検査してみると片頭痛であることがわかりました。
片頭痛治療を受けて頂くことで、病状は回復傾向にあります。
周期性嘔吐症について教えてください。
視床下部から異常が起こると周期性嘔吐症だと言われていますが、原因ははっきりとはしていません。
周期性嘔吐症の場合、嘔吐した際に吐き気止めの点滴などで治療します。
しかし、嘔吐の回数が多くなれば、患者様の体力は消耗します。
周期性嘔吐症は、片頭痛の前触れとも言われています。
だから、片頭痛の予防で周期性嘔吐症も抑えられます。
それを考えて治療したところ、本当に周期性嘔吐症の症状は消失しました。
海外では「周期性嘔吐症は片頭痛予防薬で予防できる」と広く知られているにも関わらず、日本ではその知識はほとんど広まっていません。
むしろ、その治療法を否定されているドクターもいらっしゃるくらいです。
周期性嘔吐症は、大体10歳くらいまでのお子様が理由もなく嘔吐を繰り返すことが特徴です。
繰り返し嘔吐することで、体の中の水分や糖分が足りなくなり、アセトンやケトン体が体内から不足する状況を指します。
要するに、脱水と糖分を補うと治療はできます。
周期性嘔吐症を一度抑え込んでしまえば、再発することはないのが一般的です。
頭痛で市販薬を使用するリスクはありますか?
使うのであれば、複合鎮痛剤はやめた方が良いでしょう。
例えば、ロキソニンやバファリン、イブプロフェンというような単独の薬であれば良いと思います。
しかし、別の種類が加わった、例えば「カフェイン」が混じっている頭痛薬は避けた方が良いです。
だから、なるべく成分が単純な市販薬を使うことが大切です。
市販薬を飲んでも胃腸が不調にならず、頭痛が治まるようであれば問題はありません。
ただし、頭痛が治らず頭痛薬を常用している場合鎮痛剤を月に10~15日以上内服している方は当院へ来院されることをおすすめします。
頭痛の原因や頭痛を放置した場合のリスクとは?
これまで無かったのに頭痛が起こり始めたとか、ひどい頭痛が起こる、嘔吐を伴う頭痛などがある場合は、病院へ受診された方が良いです。
そういった症状がある場合は片頭痛ではなく、くも膜下出血や脳動脈解離、脳腫瘍などが疑われるケースもあります。