症例報告

群発頭痛の再発に対し予防薬を用いず、トリプタン単独で経過観察可能であった一例

患者背景50歳台男性。25歳頃より頭痛を自覚し、30代で**群発頭痛(Cluster Headache)**と診断された(診断は東京都内の医療機関にて)。既往において、イミグラン点鼻薬・皮下注製剤、予防薬Aなどの予防薬を使用した経験がある。現病歴今回の発作は2025年7月18日より左側頭部に痛みが出現。以降、毎晩痛みが出現し、就寝後に頭痛で覚醒するパターンを繰り返していた。痛みはかつての発作よりも軽度であったが、連日同様の時刻に出現し、左眼の奥や前頭部に「もやもやする」違和感を伴った。症状としては、かつての発作にあった眼の充血・鼻水・鼻閉などの自律神経症状のうち、今回は鼻閉のみが確認された。患者は手持ちのイミグラン皮下注を使用して対処していたが、発作の頻度は依然として毎晩持続。日中は症状がなく、「出そうな感じ」はあるが発作には至らない状態だった。治療歴と判断患者は過去に**予防薬Aおよび予防薬B)**を使用した際に、群発期がむしろ延長する傾向ムーンフェイスなどの副作用を経験しており、予防薬の使用を希望しなかった。また、夜間にしか発作が出現しないことから、就寝前に持続時間の長い経口トリプタンを投与する方針を提案した。経過治療開始後、10日後の再診時点で頭痛は数回にとどまり、明らかに頻度・強度ともに軽減。このまま経過すれば、例年通り約1ヶ月で発作期が終息する見込みであり、患者自身の希望もあり、予防薬は使用せずトリプタン単独での治療継続とした。考察群発頭痛の治療においては、急性期治療にトリプタン製剤が非常に有効であることが多いが、予防薬による群発期の延長や副作用の問題がしばしば課題となる。本症例では、発作の出現時間帯が限定的であったこと、また患者が予防薬による過去の副作用を強く認識していたことを背景に、**経口トリプタンによる戦略的な投与(就寝前投与)**のみで群発期を乗り切ることが可能であった。個々の症例において、患者の経験や希望、副作用プロファイルを考慮した柔軟な治療戦略の重要性を示唆する一例と考える。
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