症例報告
診断のつかない三叉神経・自律神経性頭痛の一例(50代女性)
10日ほど前より左眼の痛みおよび眼瞼下垂を訴えています。発症当初は、痛みの持続時間が3時間以内であったため、群発頭痛を疑いましたが、徐々に痛みが1日中持続するようになり、現在はほぼ終日持続しています。
痛みの性質および持続時間からは、**持続性片側頭痛(Hemicrania continua)**が疑われます。しかし、インドメタシン(インデラル)を試したものの無効であり、診断的治療の観点からも典型的とは言い難い経過です。
痛みの強さは非常に強く、持続時間は異なるものの、群発頭痛に匹敵するレベルと考えられるため、群発頭痛に準じた治療としてトリプタン製剤や特効薬A・Bを試みましたが、いずれも効果は不十分でした。イミグラン皮下注射ですら、十分な効果は得られていません。
発症からまだ1週間〜10日程度と日が浅く、現時点では保険適用下での抗CGRP抗体治療も導入できません。現在、残された治療選択肢としてはボトックス治療の適応を検討している状況です。
なお、二次性頭痛の可能性も鑑み、来院前に2回MRIが実施されていますが、いずれも明らかな異常は指摘されていません。
持続時間および臨床経過から判断する限り、発作性片側頭痛(PH)やSUNCT/SUNA症候群は否定的です。
非常に対応に苦慮する難治性の症例です。