コラム
一次性運動時頭痛
一次性運動時頭痛(労作性頭痛)とは、激しい運動によって引き起こされる頭痛で、主に次のような特徴があります。
- ズキズキと脈打つような痛みが特徴
- 運動中にのみ起こり、運動以外には起こらない
- 高所や暑い環境下で起こりやすい
- 5分~2日間(48時間)以内に治まる頭痛とされており、多くの場合は半日以内に治まるとされている
一次性運動時頭痛は、原因となる特定の疾患が分からない頭痛を意味します。女性に多く、片頭痛との合併も少なくありません。
デンマーク国立中央人物登録簿の 975 人の被験者を対象とした 1 つの研究では、一般人口の 1% が IHS 診断基準に従って良性の労作性頭痛を患っていることがわかりました 。頭痛のために 10 年間にわたって診察された 6000 人以上の患者を対象とした別の前向き研究では、誘発されたと見なされたのはわずか 1.5% で、そのうちの 11% が労作と見なされました 。患者は一般的に若く、平均発症年齢は40歳で、主に男性でした。1800人以上の患者を対象とした大規模な疫学研究では、EHの有病率は12.3%で、女性がわずかに優勢であることがわかりました。激しい自転車レースに出場するサイクリストのみに焦点を当てた別の研究では、PEHの有病率は26%で、年齢が上がるにつれて有病率が低下していることがわかりました。PEHの有病率が高いのは、研究の人口、脱水症、または体温に続発する可能性があります。イランの2076人の患者を対象とした2015年の疫学研究では、PEHの1年間の有病率は7.3%で、女性(10%対男性5.4%)が有意に優勢で、平均年齢は32歳(±12歳)でした。2015年の日本の研究では、頭痛患者2546人を評価し、現在のガイドライン分類を使用して30人のPEH患者を特定しました。また、PEHは女性に多く見られること(1.77%対1.19%、男性0.82%)、発症の平均年齢が43歳であることもわかりました。頭痛は、30人の患者のうち23人、後頭部(16人の患者)、または前頭部(10人の患者)で両側に見られ、5分から12時間続きました。PEHは、ほとんどの患者(30人中20人)で前兆のない片頭痛、性行為を伴う頭痛(7人の患者)、または咳頭痛(5人の患者)と併存していました。
PEHはしばしば良性の診断ですが、可逆性脳血管収縮症候群(RCVS)、頸動脈解離、特発性頭蓋内圧亢進症、心筋梗塞、褐色細胞腫などの二次的な病因は、同様の表現型を呈することがあります。
一次性運動時頭痛の治療には、インドメタシン、エルゴタミン、プロプラノロールなどの薬が予防効果を持つとされており、これらの薬を内服することが多いです。また、それ以外の痛み止め(NSAIDsなど)が使われることもあります。多くの一次性運動時頭痛は1~2か月で消失するようです。その間は運動を控えるように指導されます。この頭痛を経験されるかたの一部に内頚静脈弁がうまく閉まらないといわれてます。
この頭痛を持つ方の7割のかたが内頚静脈弁の不全があるのに、健常者では2割くらいのかたのみに内頚静脈弁の不全がみられるんです。