コラム

小児期の慢性片頭痛に対するボトックスの効果について

■ 研究概要

目的
慢性片頭痛と診断された小児患者に対するボツリヌス毒素A型(onabotulinumtoxinA)の安全性と有効性を検討すること。

デザイン
2013〜2018年の単施設・後ろ向き研究。

対象
11〜18歳の慢性片頭痛患者65名。
全例が従来治療に抵抗性(73%が6剤以上を試行)。

投与方法
成人PREEMPTプロトコール準拠。
平均投与量:

  • 総量 約173単位

  • 体重換算 約2.8単位/kg
    最大200単位まで使用。

評価は6週間後のVASで実施。


■ 主な結果

① 痛みの改善

  • 治療前VAS:平均7.47

  • 治療後VAS:平均2.28
    約5ポイントの有意な低下

  • 頭痛頻度:月16回 → 月4回へ減少

② 安全性

副作用は2例のみ(いずれも軽度・一過性)。
重篤な有害事象なし。

③ 投与量と背景

  • 薬剤試行数が多い患者ほど投与量が多い傾向。

  • 神経ブロック併用群では、より少ない投与量で効果が得られた可能性。


■ 臨床的意義

  • 治療抵抗性小児慢性片頭痛に対する有望な選択肢

  • 忍容性は良好

  • 体重あたり約2.6〜3単位/kg(最大200単位)が実臨床で使用可能範囲

  • 神経ブロック併用は投与量削減の可能性あり


■ 限界

  • 後ろ向き研究

  • 単施設

  • 対照群なし

  • プラセボ効果の影響を排除できない

  • 長期安全性データ不足


■ 結論

小児慢性片頭痛に対するボツリヌス毒素Aは、

  • 有効性が示唆され

  • 安全性も比較的良好

と考えられる。

ただし、確立した標準治療と位置付けるには、多施設・無作為化比較試験による検証が必要である。

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